35歳で健康診断で脂肪肝を指摘された日のことを、今でも覚えています。

帰り道のコンビニで何を買うか迷いながら、「この生活を続けたら、10年後どうなっているんだろう」と考えました。エンジニアの仕事は座りっぱなしで、運動なんて何年もしていない。会社の健康診断で「経過観察」が増えていく未来が、嫌に鮮明に頭に浮かんできた。

その夜、家から徒歩10分のジムを調べて、翌週には入会していました。

それから5年と少し経ちました。今この文章を書いている私は41歳。ベンチプレスのMAXは115kg、体重は63kg、脂肪肝はもう指摘されません。「変わったな」と思うことを、正直に書こうと思います。数値の推移は40代男性のビフォーアフター|5年の時系列にまとめています。


一番大きく変わったのは、メンタルでした

これは始める前は予想していなかった変化です。

仕事のプレッシャーや、人間関係のもやもや。家に帰ってもずっと頭の中で反芻してしまう、あの感覚。40代になると、責任は重くなる一方なのに、コントロールできることは年々少なくなる気がしていました。

ジムに行き始めて最初の数ヶ月は、ただ「体を動かして疲れる場所」でしかなかった。でも、いつの間にか変わっていました。

バーベルを担いでスクワットしている瞬間、仕事のことは考えられない。物理的に無理なんです。85kgのバーベルが肩に乗っていたら、目の前の重量に集中するしかない。終わって帰る頃には、悩んでいたことが「まあいいか」と思えるようになっている。

これはたぶん、運動で出るセロトニンとかエンドルフィンの作用なんだろうと思います。でも理屈はどうでもよくて、実際にスッキリする。それが全てです。

仕事では、頑張っても報われないことがある。人間関係は自分でコントロールできないことが多い。でも筋トレは、自分の努力が100%結果に反映される。先週80kgだったベンチが82.5kgに上がる。その重さの違いは、誰にも嘘をつけない。「自分はまだ成長できる」という感覚を、40代で持てるのは本当にありがたいことだと思います。


期待していた「痩せる」は、思ったより難しかった

正直に書くと、これは予想と違いました。

筋トレを始めて筋肉はついた。周りから「体つき変わったね」と言われることも増えた。でも体重は減らなかった。むしろ最初は食欲が増えて、少し太ったくらいです。

「筋肉がつけば代謝が上がって自然に痩せる」とよく言われます。でもこれは半分嘘です。基礎代謝は確かに上がるけど、筋肉1kgあたり約13kcal。10kg増やしても130kcalしか増えません。おにぎり1個分にもならない。

10kgの減量に成功したのは、食事管理を始めてからです。筋トレ単体では、本当に痩せませんでした。


「沼」を試して、1週間で挫折しました

減量を始めようと決めた時、最初に飛びついたのがマッスルグリルの「沼」でした。

知らない人のために説明すると、炊飯器に鶏むね肉、米、干しシイタケ、カレー粉などを入れて炊くだけの低カロリー・高タンパクメニュー。マッスルグリルさんが減量期にこれを食べているという話で、有名な料理です。

「これさえ食べていれば痩せるなら、やる価値はある」と思って実践しました。

——結果、私は耐えられませんでした。

味が単調すぎて、1〜2週間で精神的にキツくなった。食事の時間が楽しくなくなる。「明日もこれか」と思うと憂鬱になってくる。減量どころか、人生の楽しみが減っていく感覚でした。

ここで一つ、自分の中での発想転換が起きました。

「完璧な食事」ではなく「続けられる食事」を目指そう、と。


続けるための工夫を、自分で組み立てていきました

沼を諦めた代わりに、自分なりに考えた減量メシのルールが3つあります。

1. 同じジャンルの中で「太りにくいもの」に置き換える

ラーメンが食べたい時は、ラーメン屋で低糖質麺を注文します。最近は対応している店が増えました。カップ麺ならカップヌードルPRO(高タンパク・低糖質版)。普通のラーメンよりもPFCバランスが圧倒的にいい。麺類全般を断つのではなくて、麺の種類を変える。

これだけで「食べたいものを食べた」という満足感は維持できます。

2. 15時のおやつタイムを確保する

これは本当に効きました。1日のカロリーを調整して、15時にプロテインバーやナッツを食べる枠を作る。

「あと2時間でおやつだ」と思えるだけで、空腹のストレスが全然違うんです。減量は長期戦なので、こういう小さな楽しみがないと絶対に続きません。

3. 普段は固定メニュー、たまに変化球

平日は決まったメニュー(鶏むね、ご飯、ブロッコリー、卵)を回してPFC計算を自動化する。週に1〜2回、低糖質麺やカップヌードルPROで気分転換する。

このバランスで、半年で10kg落ちました。月換算で1.5〜2kg。急激な減量ではありません。15時のおやつも食べていたし、週末は外食もしていた。あまり無理をしていないのに、半年続ければそれだけ落ちる。

短期間で一気に落とそうとするから辛くなるんだと思います。ゆっくりやれば、意外とストレスなく痩せられました。

参考までに、脂肪肝を指摘された35歳から現在41歳までの、体重とベンチの推移はこんな感じです。

時期 年齢 体重 ベンチ
開始時 35歳 70kg 50kg
1年後 36歳 71kg 70kg
2年目(沼開始) 37歳 70→60kg 80kg
4年後 39歳 60kg 100kg
現在 41歳 63kg 115kg

見てのとおり、体重が落ちたのは食事管理を始めた2年目から。筋トレだけだった1年目は、むしろ1kg増えています。数字の詳しい背景は5年の時系列ビフォーアフターに書きました。


想定外だったこと:周りの反応は、思ったより薄い

ベンチ100kgを挙げられるようになった頃、私はちょっと期待していました。「これは周りに気づかれるんじゃないか」と。

——気づかれませんでした。

服を着ていれば、ベンチ100kgのトレーニーも普通の体型に見える。Tシャツの下に隠れている筋肉は、外からは見えないんです。「筋トレで見た目が劇的に変わって周りにすごいと言われる」みたいな期待は、捨てたほうがいいです。

ただ、これに気づいた時に「変化は自分のため」だと腹落ちしました。他人の評価を期待するから挫折する。自分が満足するためにやればいい。そう思えるようになってから、続けるのがさらに楽になりました。


5年経って、何が一番変わったか

体型は変わりました。脂肪肝は改善傾向に向かいました。ベンチプレスは65kg伸びました。

でも、一番変わったのは——たぶん「自分との付き合い方」です。

完璧を目指さなくなった。続けることだけにフォーカスするようになった。1セットでもやれば勝ち、と本気で思えるようになった。1年休んだ時期もありましたが、復帰して半年でMAX重量を更新できました。続かなくても戻ればいい。これが心の底から信じられるようになった。

これが、35歳の自分には一番足りなかったものだと思います。


これから始める方へ。

筋トレで人生が変わったかと聞かれたら、間違いなく変わったと答えます。でも「筋トレだけ」で全てが解決するわけじゃない。食事管理、睡眠、怪我予防、それらが全部セットになって、初めて結果が出ます。

それでも、最初の一歩はジムのドアを開けることです。完璧な準備はいりません。100点を目指さなくていい。まずはBIG3を1セットだけやってみてください。

5年後の自分が、感謝してくれます。

次に読む

この記録に何か感じたら、次の3記事へ。

  1. 40代から筋トレは遅いのか — 始める不安への反論
  2. 100点を目指さない — 続けるための心構え
  3. 5年の時系列ビフォーアフター — 数値で見る変化

※本記事は個人の体験に基づく情報です。効果には個人差があります。食事制限を始める際は、持病のある方は医師にご相談ください。